青山エイドステーション

★雅実のフランクフルトでロング、しかもアイアンマンに初挑戦!★

★雅実のフランクフルトでロング、しかもアイアンマンに初挑戦!★

エントリー

今から約1年前、会社のトライアスロン同好会で、フランクフルトへ赴任になった仲間の歓送会の場で
エントリー。
仲間の「えーっまだ、エントリーしてないの? まだ一年もあるから、大丈夫!」という優しくも強引な
プッシュと、その場のノリで、レース概要も良く理解しないまま、i-Phoneからフランクフルトアイアンマン
にとにかくエントリー。
その時既に、同好会からの申込者は15名程。正直、みんなで渡れば怖くない的な感覚だった。

後で知ったのだが、その15名の大半はロングの経験者、また、このフランクフルトのアイアンマン、
実はヨーロッパ選手権という位置づけで、制限時間が通常のアイアンマンの17時間より2時間も短い
15時間であった。

「よりによって、なんでこんな大会を俺は初ロングに選んでしまったのか」と、その後、何度も後悔。

戦歴

初レースは14年秋の渡良瀬。程よく濁った水で、ナマズさん気分だった事を思い出す。
その後、会社同期の村上君の勧めで、14年末に青トラに入る事に。
15年に入ってから横浜、木更津、九十九里とオリンピックディスタンスを3本。今年に入ってからは、
久米島、セントレアとミドルを2本。
まだ、毎回、持ち物、トランジッションでアタフタするレベル。
当初計画では、今年はミドルまで。ロングは来年以降のんびり距離を伸ばして行く計画だった。
が、仲間におされ、計画より1年以上前倒しでロング、しかもアイアンマン、しかもしかも   
ヨーロッパ選手権へ初挑戦する事になった。
やはり、仲間と勢いは人生のスパイスである。

準備

平日は仕事の関係でほぼ毎晩会食で、夜は時間が取れない。よって、朝と週末が僕の練習時間。
青トラでは、水曜の朝スイム、週末のバイク・ラン中心に月3?4回のペース。平日朝は晴れの日は
ジョグ。雨の日は恵みの雨とて、練習はお休み。後は、荒川、豊洲でのバイク、ランのぼっち練と、時々、フォームづくり中心のスイムレッスンに参加。
また、月一ペースでヨーロッパ方面へ出張。いつも出張先に海パン、ランシューは持参するが、
どこにいても常に時差ボケとの戦い。
練習時間が限られるので、効率を重視。体力作りより、フォーム作り。力よりテクニック。
青トラ、河原コーチのアドバイスに従い、背骨を緩め、3種目とも、出来る限り手足の筋肉に頼らない、
体幹を活かしたフォーム(エリマキトカゲ、スネーク系、時々ドラゴン)作りをひたすら探求。
今思えば、フランクフルト 3週間前のセントレア(ミドル)が最高の予行演習になった。
セントレアでは初めからロングを想定したペースで通し、また、補給、ペース配分等、今回のロングを
意識してほとんどそこで試せたのが大きな自信につながった。
アイアンマン特有のトランジッションシステムにも馴染め、直前練習としてはベストだった。

レース当日

3時起床。時差はあったが、よく寝れた。ただ、お腹が緩く、しかも前傾すると少し腰痛。
決して、体調はベストとは言えなかったが、ここは長丁場。汚い話だが、お腹は途中でトイレに行けば
良いし、腰痛は動いていれば腰の緊張がほぐれ、改善する事もあるだろうと気楽に構えた。

今回、Swimはアップ、Bikeはピクニック、Runはジョグ、と自分のテーマを決めた。

Swim 3.8Km アップ

ピーッという笛の音で、一人ずつスタート。ローリングスタートというらしい。バトルはなく、延々と集団で
泳ぐイメージ。
自分にとって、Swimは226kmを完走する上でのウォーミングアップという位置付け。
心拍を抑え、とにかく、全身をリラックス、ただただ、流れに身をまかせて手の重みを活かして前に進む
ことを心掛ける。途中から呼吸、心拍と体の動きがうまくシンクロしはじめ、穏やかでとても心地いい。
ちょっとしたスイミングハイ状態に。
スタートして暫くして、青トラジャージらしき背泳ぎを発見。その時は何とも思わなかったが、暫く行って
から、ホテルにウェットを忘れた会社の同期で、大親友の村上君だったと気づく。なんで、あいつ背泳ぎしてたのかな?、変わったやつやな?と思いながら、淡々と進む。
後で、両足を攣って、低体温症になりかかっていた事を知り、深く反省。村上、本当にスマン!

スイムはフランクフルト郊外の貯水池。水が綺麗でしかも美味い。同じ貯水池でもナマズさんの渡良瀬
とは比べものにならない。透明度も高く、時々口に入ってくる水はまるでボルビックの様な味だった。
もっと泳ぎたいな?と思いつつ、あっさりとスイム終了。

タイムは1時間11分。セントレアの時、半分の距離で34分だったのでほぼ同ペース。体のダメージも
殆ど感じない。不思議と、腰痛も感じなくなっていた。

Bike 180km ピクニック

のんびりトランジッション。あくまでも、今回の目標は無事完走する事。よって、完全にバイク仕様に
着替える。トイレにも立ち寄る。結局、13分掛かっていた。さすがに、ちょっと、ノンビリしすぎか…
バイクのテーマはピクニック。ポイントはピクニック気分で、充実した補給食を楽しむこと。
6時間超の長丁場。とにかく、景色と補給食を楽しみながら乗り切ろうという作戦。
補給食はスポーツ羊羹2種類、ういろう、グミ、塩タブレット、おにぎり、梅チューブ、味噌チューブ、
カロリーメイトに、ジェルはMagOn、アミノバリュー(補給系)と超充実。直前に経験者から聞いていた
もの全て持ってきた。まるで走る補給食のコンビニ。
ポケットがパンパンのバイクジャージに、同じくパンパンのウェストポーチを巻いて、ボトルも4本挿しの
戦車の様な重装備(写真参照)

ペースは速度は気にせず、自分の最大心拍数と最大パワー(FTP) の70%以下に抑える事を目安とした。自分の場合、心拍 130/分、パワー 130W迄。感覚的には鼻歌が歌えるペース。
鼻歌ペースなので、初めからバンバン集団に抜かれる。でも、気にしない、気にしない。
ハイ、ハーイ、お先にどうぞー。
補給食も次はなに食べよーかな?、と完全にピクニック気分。唯一のルールは、前半は固形、後半はジェルという事だけ。朝食を取ってから既に4時間たっていたので、パクパク順調に食べ続ける。ぺダリングは背骨を緩め、上半身から両脚にかけての自重を左右のペダルに交互に乗っけているだけという感覚。登り坂以外、踏む筋肉は基本オフ状態。なので、心拍も上がらない。

コースは貯水池からフランクフルトの街までがフラットな高速道路。フランクフルトの街を抜けてからは、郊外の丘陵地帯にある村をアップダウンしながら転々とするコース約90kmを2周。
この大会、フランクフルト市街地、郊外の村ともに、地元応援団の盛り上がりがハンパない。BBQあり、サンバあり、バンド演奏、カラオケ? ありと、次から次へと色んなものが、出し物のように飛び出して
来る。観ていて楽しく、飽きない。村の雰囲気もヨーロッパらしく、何処もそれなりに趣がある。また、
風光明媚な田園地帯も印象深い。アメリカ西海岸のNapa Valleyを思い出す。
お菓子を次から次にパクパクしながら、まさにピクニックだ。
名物のHeartbreak Hill (日本語では、まさに心臓破りの坂)では両サイドから自転車スレスレまで観客が迫って応援してくれる。観客とタッチしながら、気分はまるでツールドフランス。
バイクスタート直後から前輪左側のブレーキシューがホイールに当たって、シューっという音が続いて
いたが、それ以外、大きなトラブル無く、 1周を終え、順調に鼻歌ペースを刻む。
2周目に入って暫くすると、雨。
田園地帯では、結構な逆風で冷たい雨となり、宮沢賢治状態。
手足が一気に冷え、つま先の感覚が無くなる。 でも、残り30kmを切ると、再びスイッチが入って、
ブルブルしながらも、無事、フランクフルト市内に戻ってきた。
こうして、楽しいピクニック180Kmが終わった。
記録は6時間33分。平均速度は27.5kmと、鼻歌ペースとしては上々。平均心拍は129/分、平均パワーは127wとほぼ狙い通りだった。


Run 42.2km ジョグ

Runのテーマはジョグ。
バイク終了時点で制限時間まで約7時間。歩きを入れながらジョグで通しても、制限時間内に完走は
できそう。しかもコースはどフラット。既にゴールした気分で、急に嬉しくなってきた。
再びのんびりトランジッション。冷え切った手足をタオルで入念に拭いて。
靴下を履き替え、それに長いコンプレッションタイツを履き、長袖、ハイネックのCW-Xを着込む。まるで冬支度。
「制限時間ギリギリになって、日が沈んだら寒いぞ?、暑いのは耐えられても、寒くて凍えるのは
どうしようもないぞ?」との諸先輩からの忠告を思い出し、バイク後半で寒かった事もあって、ここは
たっぷり着込んだ。そこに、ラン用補給食を入れたウェストポーチを巻いて、再び重装備で発進。
トランジッション 8分。

ところが、8分のトランジッションを飛び出すと、外の雨はすっかり上がり、太陽が眩しい。
2?3kmも行くと、顔もほてってきて、暑い、のぼせそう。しかも、周りはほぼ全員、半袖短パン。
見ていて余計、暑くなる。まるで一人サウナ地獄だ―っ。全てその場に脱ぎ捨てたいという強烈な衝動
に駆られつつ、暑さに堪えながら一歩一歩前進。
ラン開始時点では、想定以上に足は残っていたが、このサウナ地獄でかなり体力と水分を消耗。

コースはフランクフルトのマイン川沿いの一周約10kmを4周。
1周目8km地点辺りで、観衆の中に、一緒に連れて来た長女を発見。一瞬、その場で、ロングタイツ他、
全て余計なものを脱ぎ捨てて、長女に渡そうと思った。が、彼女を取り巻く観衆の目、長女の立場も
考え、躊躇。 結局、そこは、爽やかに手を振って、ぎこちない笑顔で通過。
しばらくして、2周目で長女に全て余計なものを渡すと決めた。(娘に2周目も同じ場所にいてくれと
言うのを忘れたが)着替えは途中の簡易トイレで。空いているトイレを探してひたすらさまよう。片っ端
からトイレをあたったが、どこも使用中。長女の場所から7、8km位行った辺りで、漸く、トイレに駆け
込む。この日、自分だけの3回目のトランジッション。狭い簡易トイレの中で、汗だくになったシャツ、
タイツの着替えに四苦八苦。
何度も足攣りそうになりながら、やっとの思いで長いタイツとタイツの上に履いていた短パンを脱いだ
が、ハイネック長袖シャツまでは脱げず、腕まくりをして再出発。7,8分位のロスか。

しばらく、タイツと短パンを背中のポケットに入れて走ったが、ゆさゆさ揺れて、すぐ落ちる。娘よ、
未だ同じ場所にいてくれ! と祈りながら、両手にタイツと短パンを持って走る。
2周目、ほぼ同じ地点近くに来ると、再び、手を振っている長女を発見!まるで天使の様。
立ち止まって、汗で重くなったタイツと短パンを彼女に渡した。勢い余って、補給食の入ったウェスト
ポーチも外した。礼を言って、そのままキョトンとした彼女を後にした。
既に15km位走っていたが、漸く嫌なほてりも収まり、ペースも自然に上がった。
それから、補給はエイドのものを食べた。
りんご、パワージェル、予想以上に美味かった。ガス欠でもあったらしく、パワージェルを飲む度に力が
戻ってきた。最後の一周で、コカコーラと、レッドブルもガブ飲みした。まさに、五臓六腑に染み込んだ。
後は、どうやってフィニッシュするかとか、長かったけど、もう終わっちゃうな?とか、色々な事を考え
ながら、最後の一周、一歩一歩噛みしめるようにゴールを目指した。
カーペットに入ってからは意外にあっさりゴール。ガッツポーズのタイミングがカメラマンと合わず。
感動的ゴールシーンの写真はなく、次回以降の課題。ぜひ、村上師匠に弟子入りしたい。
ゴールの瞬間、ただただ、達成感に満ち溢れていた。
結局、Runは4時間49分。総合タイム 12時間56分だった。Runは7時間たっぷり使うつもりだったので、
5時間は裕にかかったと思ったが、4時間台だった。

感想

自分自身、故障なく無事、制限時間内に完走できた事が嬉しかった。改めて、背中を押してくれた
仲間、コーチや親への感謝の気持ちがこみ上げてきた。随分長い間忘れかけていた、素直で
清々しい気持ちを思い出した様な気がする。

また、オリンピックディスタンスやミドルにはない、ロング アイアンマン特有の雰囲気、魅力を味わって
しまった。
これはほんまやばい、これから益々はまりそう。

最後に、この大会、アイアンマン ヨーロッパ選手権だけの事はあって、エイド、観客、コースと3拍子
揃った本当に素晴らしい大会でチョーオススメである。
ただ、自分にとってロングは未知との遭遇、ある種の冒険でありJourneyなので、次はまた
どこか違う土地のロングに挑戦してみたい。
さて、次は何処に行こうかな?


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posted by 2016.08. 6 | 固定リンクメンバー

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